スマートフォンの使い方は人それぞれです。純粋な習慣で手に取る人もいれば、SNSでつながりを維持するために使う人もいます。2023年にWickord氏とQuaiser-Pohl氏が行った研究では、スマートフォンの利用タイプによってグレースケールの効果が異なるかどうかが調査され、驚くべき結果が得られました。
研究の概要
学術誌『Computers in Human Behavior Reports』に掲載された「Suffering from problematic smartphone use? Why not use grayscale setting as an intervention!(スマホ依存に悩んでいますか? 介入手段としてグレースケール設定を!)」というタイトルのこの研究は、問題のあるスマホ利用を減らすためのツールとしてグレースケールを検証しました。これまでの研究と異なるのは、ユーザーのタイプに焦点を当てた点です。研究者らは参加者をその利用パターンに基づいてグループ化し、グレースケールが各グループにどのような影響を与えるかを測定しました。
習慣的な利用者に最大の効果
研究の結果、グレースケールは特に2つのグループに効果的であることがわかりました。一つは「習慣的」な利用者(退屈な時や手持ち無沙汰な時にスマホを手に取る人)、もう一つは「ソーシャル」な利用者(メッセージやSNSで他者とつながるために主にスマホを使う人)です。
これらのグループでは、1日のスクリーンタイムが約1時間減少しました。ディスプレイ設定を一つ変更するという受動的な対策だけで、これほど大きな削減が見られたのです。
グレースケールが「ナッジ」として機能する仕組み
研究者らは、グレースケールを行動上の「ナッジ(きっかけ)」と表現しています。これは何かをブロックするわけでも、アプリへのアクセスを制限するわけでもありません。その代わりに、価値の低い活動にデバイスを使用する際に、わずかな「煩わしさ」を増大させます。スマホは通常通り機能しますが、色による関心の引きつけがなくなるため、コンテンツをスクロールする楽しさが少しだけ損なわれます。
これは、グレースケールがユーザーの意思に反するものではないことを意味しており、非常に重要です。特定の目的でスマホを使う必要がある場合は、通常通り使用できます。しかし、単に退屈しのぎで触っている場合には、視覚的な報酬が減るため、再びスマホを置くことが容易になります。
なぜ「退屈しのぎのスクロール」が主なターゲットなのか
多くの人が悩んでいるのは、習慣的なスマホ利用のパターンです。列に並んでいる時、ソファに座っている時、あるいはベッドに横たわっている時、無意識にスマホに手が伸びてしまいます。そこには明確な目的はありません。ただそこにスマホがあり、カラフルな画面が操作を続けるのに十分な報酬を与えてしまうからです。
グレースケールはこのループを断ち切ります。画面がグレーになると、目的のないスクロールの刺激が弱まります。自分が何をしているかをより意識できるようになり、その自覚だけで操作を止めるには十分な場合が多いのです。
これが設定に意味すること
もしあなたが、明確な理由なくスマホを手に取ってしまうタイプなら、グレースケールはスクリーンタイムに目に見える効果をもたらす可能性が高いでしょう。研究結果は、色が本当に必要なタスクを除いて、基本設定(デフォルト)としてグレースケールを使用することを推奨しています。
それこそが、StayGrayが構築されたアプローチです。基本的にはグレースケールをオンにしておき、地図、カメラ、写真編集アプリなどは例外として登録します。特定の色が必要な理由がある時は、時間を決めてカラーモードに切り替えます。あとはスケジュール機能に任せて自動的に切り替わるようにすれば、意識する必要さえありません。
長期的な視点
この研究は、意志の力に頼る戦略よりも、環境を少し変える方が効果的に行動を変えられるという、増え続ける証拠の一部となりました。SNSアプリを削除したり、複雑なブロックルールを設定したりする必要はありません。時には、画面を少しだけ彩りのない状態にするだけで、1日の有意義な時間を取り戻すのに十分なのです。
参考文献: Wickord, L.-C., & Quaiser-Pohl, C. (2023). Suffering from problematic smartphone use? Why not use grayscale setting as an intervention! Computers in Human Behavior Reports, 10, 100294. doi.org/10.1016/j.chbr.2023.100294