研究報告 • 読了時間5分

グレースケールがいかにモバイルゲーム依存を軽減するか

2025年の実験で、グレースケール表示は鮮やかな視覚的報酬を取り除くことにより、モバイルゲームの継続率と1日のプレイ時間を大幅に減少させることが証明されました。

モバイルゲームは、プレイヤーを飽きさせないように設計されています。鮮やかな色彩、派手なアニメーション、そして生き生きとした視覚的フィードバックのすべてが、プレイを「価値ある体験」と感じさせる要因となります。ACMの会報誌で発表された2025年の研究では、その「色」を取り除いたときに何が起こるかを調査しました。

実験内容

中村氏らの研究チームは、「モバイルゲームにおける倫理的離脱:ローディング遅延とグレースケールの効果」と題した実験を行いました。研究者たちは、プレイヤーがモバイルゲームから離れやすくするための2つの介入策をテストしました。それは、ゲーム開始前にローディング待ち時間を追加すること、そしてゲームをグレースケールで表示することです。

これら2つの介入策はそれぞれ独立してテストされ、プレイヤーの継続率(再びプレイしに戻ってくるか)と1日のプレイ時間(1回のセッションがどのくらい続くか)への影響が測定されました。

グレースケールがゲームプレイに与えた影響

結果として、グレースケール表示はプレイヤーの継続率と1日のプレイ時間の両方を大幅に減少させることが分かりました。ゲームが色なしで描画されると、プレイヤーは視覚的な魅力を感じにくくなり、次のセッションのために戻ってくる可能性が低くなりました。

研究者たちはこれを「没入感」の遮断と表現しています。モバイルゲームは、カラフルな爆発、光り輝くアイテム、鮮やかなキャラクターデザインといった視覚的な報酬に大きく依存しています。これらすべてが灰色になると、情緒的な報酬(満足感)が低下します。ゲームの機能自体は変わりませんが、体験としては平坦なものに感じられるのです。

なぜ「倫理的離脱」と呼ばれるのか

研究者たちはグレースケールを「倫理的離脱(Ethical Disengagement)」のためのツールとして位置づけています。ゲームデザイナーは、時としてプレイヤーの時間や健康を犠牲にしてまでエンゲージメント(没頭)を最大化するために、色彩や視覚的報酬を利用します。グレースケールは、プレイヤーの「プレイする自由」を奪うことなく、視覚的な仕掛けを無効化することで、その力学を逆転させます。

このアプローチは、アクセスを遮断したり制限したりする方法とは異なります。何かを取り上げるのではなく、意図したよりも長くプレイし続けてしまうような「人工的な誘引力」を弱めるのです。

ゲーム以外への応用

継続率を高めるために最も緻密に最適化されたデジタル体験の一つであるモバイルゲームにおいてグレースケールが効果的なのであれば、視覚的刺激に依存する他のアプリにも同じ原理が当てはまります。SNSのフィード、ショッピングアプリ、ニュースサイトなどはすべて、ユーザーを引きつけ、スクロールし続けさせるために色彩を利用しています。

この研究結果は、グレースケールが、視覚的に刺激の強いスマホ操作に費やす時間を減らすための、摩擦の少ない効果的な方法であるという考えを裏付けています。コンテンツをブロックするのではなく、受動的に消費する際の報酬感を低下させることで機能するのです。

実践的なアドバイス

モバイルゲームやその他の視覚的に豊かなアプリに時間を奪われていると感じるなら、グレースケールはシンプルな対策となります。StayGrayを使えば、デフォルトの表示モードをグレースケールに設定しつつ、地図や写真編集など、本当に色が必要なアプリだけを例外として追加できます。ゲームやSNSアプリは機能したまま、デフォルトで中毒性の低いものに変わります。

出典: Nakamura, Y., et al. (2025). Ethical Disengagement in Mobile Games: The Effects of Loading Delay and Grayscale. Proc. ACM Interact. Mob. Wearable Ubiquitous Technol., 9(1). doi.org/10.1145/3712281